お米は、なぜ日本人にとって特別なのか〜文化と暮らしの中にあるお米の話〜
- 山根製菓

- 6月8日
- 読了時間: 3分
お米は、なぜ日本人にとって特別なのか
〜文化と暮らしの中にあるお米の話〜
創業90年を迎えた今でも、私たちの仕事の中心にはお米があります。
毎日お米に触れ、お米を原料にしたお菓子を作り続けていますが
、改めて考えると、お米という存在は少し不思議です。
日本人にとって当たり前すぎて、その価値を意識する機会が少ない。
けれど、お米ほど日本人の暮らしや文化と
深く結びついている食品はないのかもしれません。
お米が日本に伝わったのは約3000年前とも言われています。
それ以来、日本人はお米を育て、お米を食べ、お米とともに暮らしてきました。
稲作は単なる農業ではなく、村を作り、人を集め、社会を形作る基盤でもありました。
豊作を願う祭りがあり、収穫を祝う文化が生まれ、お米は食べ物である以上に、日本人の生活そのものを支えてきた存在だったのです。
現在でも神社のお供えやお祝い事の席にお米が登場するのは、
その名残なのかもしれません。

近年、お米の消費量は長期的に減少していると言われています。
パンや麺類など食の選択肢が増えたことも理由のひとつでしょう。
ちなみに、私自身もパンが好きですし、ラーメンやパスタも大好きです。
ですから、「お米だけを食べるべきだ」と言いたいわけではありません。
食の多様化は豊かなことですし、
さまざまな文化が食卓に並ぶことは素晴らしいことだと思っています。
ただ一方で、お米との距離が少しずつ遠くなっていることも感じます。
その理由は、お米そのものの魅力が失われたからではないと思います。
むしろ、ライフスタイルが変わったことが大きいのではないでしょうか。
お米は炊かなければ食べられません。
洗米をして、水を入れ、炊き上がるまで待つ。
一方でパンは袋を開ければ食べられる。
忙しい現代では、その違いは決して小さくありません。
つまり、お米が嫌われたのではなく、
お米と接する機会そのものが減っているのかもしれません。

そんな中で、私たちのような米菓メーカーにも役割があると考えています。
お米は炊いて食べるだけではありません。
おにぎりもある。
米粉パンもある。
せんべいもある。
そしてライスチップスのような新しい形もある。
お米との接点が増えれば、お米の価値も広がっていく。
私たちはそう考えています。
健康という観点から見ても、お米は長く日本人の食生活を支えてきた食品です。
主な栄養素は炭水化物ですが、
それは私たちが活動するための大切なエネルギー源でもあります。
近年はさまざまな食事法が注目されていますが、
お米は今でも日本人の食生活を支える代表的な主食のひとつです。
もちろん、せんべいは特別な健康食品ではありません。
しかし、お米を原料としたシンプルな食品として、
日常の中で無理なくお米に触れる機会を作ってくれる存在だと思っています。
最近、井上雄彦先生の『バガボンド』を読み返していました。
物語の終盤で、宮本武蔵がお米作りに向き合う場面があります。
剣の道を極めようとしてきた武蔵が、土を耕し、稲を育て、人が生きるための糧を作る。
その姿がとても印象的でした。
お米は単なる農産物ではない。
日本人にとっての暮らしであり、文化であり、生きることそのものと深く結びついた存在なのだと改めて感じました。

創業90年。
私たちはお米を使ったお菓子を作り続けてきました。
だからこそ、お米を「守る」というよりも、お米をもっと楽しんでもらいたいと思っています。
ご飯として。
おにぎりとして。
せんべいとして。
ライスチップスとして。
形は変わっても、お米がこれからも日本人の暮らしの中にあり続けることを願いながら、今日もお米と向き合っています。



