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人がいない時代に、会社はどう生きるか 〜人材不足と私たちの向き合い方〜

  • 執筆者の写真: 山根製菓
    山根製菓
  • 7月8日
  • 読了時間: 4分

更新日:7月10日

「人がいない」。最近この言葉を耳にしない日はありません。製造業、飲食業、販売業、あらゆる業種が人材不足の問題に直面しています。私たち米菓子製造業も例外ではありません。そんな中採用活動を通して見えてきた“人”に関する課題は、決して表面的なものではないと感じました。


1. 採用現場で感じる「不安定さ」


面接をしていて近年特に感じるのは、「精神的に不安定な方が増えている」ということです。言葉を選ばずに言えば、精神的に“豊かでない”状態のまま働こうとしている人がとても多いと感じるのです。

他者との比較に疲れ、自信を失い、自分の基準ではなく“他人の物差し”で物事を決めようとする──。そういった人が増えているのが現実であり、結果的にそれが職場での安定性や継続性に大きく影響してきます。

以前、ある方から「仕事とは、自分のやりたいことを実現する手段なんだ」と教わったことがあります。当時はピンときませんでしたが、最近になってその言葉の意味が少しずつわかるようになってきました。仕事、生活、趣味、人間関係──それらは決して別々のものではなく、すべてが繋がっているのではないか。そんな風に思うことがあります。

自分の人生に対する主体性がなければ、何をしていても他人と比べることに終始し、永遠に満たされることがないのではないか。そして、それは働く現場でも表出しやすい。だからこそ、働く環境の整備だけでなく、「働くとは何か」という根本的な価値観に触れられるような接し方が求められているのかもしれません。

私たちは“無理なく、無駄なく、誠実に働ける環境”を整えることから始めていますが、その背景には、働く人それぞれの心の安定を支えたいという願いがあります。


2. 自動化は必要、でも人も必要


労働力不足が深刻化する中で、省人化や自動化は避けて通れないテーマです。特に単純作業や繰り返し工程については、機械の導入によって精度が安定し、スタッフの負担も軽減されます。

私たちの現場でも、焼成工程や包装工程の一部を自動化することで、安定した品質と作業効率の向上を実現しつつあります。また、事務作業やバックオフィス業務についても、積極的にAIツールの導入や外注を取り入れることで、できるだけ少人数でも運営できる体制を整えつつあります。

しかし、すべてが機械でまかなえるわけではありません。商品の最終判断や微妙な火加減の調整、異常の察知など、どうしても“人の目”と“人の感性”が必要な場面は多く残されています。

だからこそ、これからの働き方は「人がやるべきこと」と「機械に任せること」の線引きをしっかりと見極めることが重要だと感じています。そして、限られた人材がやりがいを持って働けるよう、無駄を減らし、価値ある部分に集中できる環境を作る努力が必要です。


3. 少人数で価値の最大化をどう実現するか


人手不足が前提となる時代において、会社が考えるべきことは、「どうすれば少人数でも価値を最大限に生み出すことができるか」です。

すべてを人海戦術で解決するのではなく、一人ひとりの強みを引き出し、限られたリソースで最大の成果を生み出すこと。そのためには、「役割の明確化」「業務プロセスの見える化」「判断の自律性」が鍵となります。

また、単に効率化を追求するだけでなく、「何に価値があるのか」を明確にして、そこに集中することが必要です。例えば、すべてを自社で抱えるのではなく、外部との連携や専門性の高いパートナーとの協業によって、柔軟に価値を拡張していくこともひとつの方法です。

そして何より、そうした工夫と挑戦を続ける文化を根付かせることが、持続可能な少人数経営を実現する最大のポイントであると感じています。


人がいないからこそ、組織は「人とは何か」をもう一度見つめ直す機会を得ているのかもしれません。自動化を進める一方で、残された“人の仕事”をより豊かに、より意味のあるものにする。そのバランスを模索し続けることこそが、これから会社の価値を決めるのだと感じています。



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